『コングレス未来学会議』『泰平ヨンの未来学会議』

ブックオフで見つけた安音源をサンプリングして楽曲を作るのは、そこには大きなお金をかけて作られた音楽から何故か形になってしまったものまで(それも多少は形にするお金がかかっているわけだが)集まっている中から何か自分で掘り当てるという店までの距離も含めて楽しいのだろうけれど、ブックオフにお金が流れるだけならバンドキャンプなんかで全然知らなかった人の音楽を買ってそれでビートなりなんなりを組み立てる方がミュージシャンに直接お金が行くのでいいと思いますけどね!こんな話から真面目すぎますかね。
話のつかみとは全く関係ないが「コングレス未来学会議」を見直して、この内容そのものが未来学会議のようで二回目の視聴も楽しめたものの、公開当時に感じたアニメーション部分に対しての新鮮さは薄れてしまい、それこそ主人公のロビンのように?人々がドラッグで世界をアニメーションで描いたような景色として観ていることについて嫌気がさしたのだった。(アニメ表現は手法であり、「アニメのように見えている」とは限らないとしても。)
前半の実写パートで暮らしている倉庫を改装した家とロケーションいいな。あそこでぼーっとしてみたい。
ラストで親子が本当に再開できたのかできなかったのか意見が分かれるところだと思うのだが、今回観て「やはり会えなかったのでは」と感じたので原作を読んでみた。
以下『泰平ヨンの未来学会議』からのメモ
P83 通常爆弾か誘愛弾がときどき爆発し、それが鈍い音で反響しているのだ。
P120 だがなんといってもいちばん変わってしまったのはことばだ。現在、<生きる>を<生繰る>、<在る>を<在繰る>と言うのは繰り返し何度でも生きられるからだ。ここから多回動詞形が生まれた。
P124 突然変異をプログラムされたおかげで、アルゼンチンタンゴが踊れる神秘的な才能をもって生まれた
P134 『高級売春ロボッチーヌ』
P136 その結果グリッドがひどく緊張し
P142 犯罪などすっかり根絶されると思っていたら、そうでもなかった。むしろ、とらえどころがなくなっていた。重罪と見なされているのは、マインドジャック(他人の精神の乗っ取り)、特に品質の高い精子を取り扱うスペルマバンクの押し込み強盗
P172-177 言語未来学についてのくだり(言語未来学というのは、言語がもつ語形変化の可能性を通じて未来を研究する学問だ)
P178 幻覚剤は世界全体を混濁させ覆うだけのことだ。
   月の地下核でどろどろの土が凝結したやつのことだ。鉱物の凝縮物のことだろ?
P186 「その仕事にたずさわる連中は見ることになるし、知ることになる!」
P194 つまり魂の拓大によって補おうとしたのだ。つまり内的空間の容積は物理的にいかなる制約もうけないからだ。
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P134『高級売春ロボッチーヌ』は読み物らしい。ある意味でこの小説の中でロボッチーヌがいちばん気になったかもしれない・・・いやそんなことはないか。
P83鈍い音の反響、聴いてみたいですね。音楽を聴いてそれから音楽を作ることを全く否定しませんが、それって人参を食べると人参色の糞がでるかたつむりといっしょじゃないかと若いころ思ってました。言葉から想像して何かを作るという方法はそこに正解がないので面白いのでは。
P120何度でも生き返ること、死なない・死ねない未来を描いた作品はあれど、ディストピアなブレラン染まりな景色だけで言葉やセリフまでこだわってる映画もあまりないような…観ていて混乱するからなのかな。ディストピアって最近ではもう見たくも聞きたくもない言葉。こんなに安っぽくなった言葉もそうないだろうってくらいに感じている。
P136これはグリッチの事を言っているわけではないかもしれないけどグリッチ表現のことをこれからは「グリッドが緊張してますね」と言っていきたい。
そんなわけで、ま、いろいろあるけど、しょうもないことをSNSに書き込む時間で友人や仕事仲間にちゃんと連絡したほうがいいよ!

Macintosh Plus – Sick & Panic

シック&パニック…。古本屋でバイトしてた頃、ある夜現れたおっちゃんというか兄ちゃんというかその間くらいの男がボロボロの女性ファッション誌を紙袋いっぱいに何冊も売りに来て、店員ひとりだけで店に立っている時間に来たもんだから、これを買い取ってしまうとこの後店長が来た時に必ず文句を言われるぞと思い、しかしながらその男の目つきがやばすぎるので、これは買い取れませんと素直に言うのはどうしたものか…と考えながら、あーとかはいとか言いながら、レジに広げられ買い取ってくれと言われた雑誌を眺めていると、男はぱらぱらとその使い古された雑誌をめくりながら、こういう方が俺は興奮するんだと説明し始めたので、あーはいはい俺もですわかりますーとかてきとうに相槌を打っていると、予想よりも早い時間にいつものグラサンをかけた店長が裏口から現れ、浮気相手の若い女とクソみたいな邦画か何かを鑑賞してきた日にありがちなにこにこしたイヤーな笑顔で「なになに、どうしたん」と言うので、これ買取希望で…と伝えると、いやぁー(にこにこ)これは買い取れませんよぉーと笑顔で、その男も話をやめず、店長に向かってまた最初から、僕は服を着てる方がエロいと思うんだと話始めてしまい、どうもかなり機嫌が良かったらしい店長は、その日は裏口からトイレに直行し長居することもなく、じゃあ少しだけ、と数十円か百数十円くらい渡して追い払ったのだった。
しかしその翌日も男は今度は昼前に現れ、同僚と店長がいる時間帯に同じく大量の使いさしのぼろ雑誌を持って現れたので、今度は怒りながら店長が追い払ったのだと、その同僚から聞いた。
彼が言うにはお前が優しくしたからだ、とモリシマ(店長)が怒っていたぞと。顔がジュリーに似ていると、ジュリージュリーとしつこく、お前はキチ○イに好かれるとしつこかった。
確かにその買取のあと、やたら機嫌がよい店長がくれた小銭で缶コーヒーを飲んでいたら、そのジュリーがまだ店の前にいて、「ねぇ君僕とバンド組まない!?」と聞いてきたのだった。コミックバンドをやっているので、君みたいな寡黙な人ならベースがぴったりだと思うんだと言われたので、あーベース弾けますよと返すと、すごく喜んでいた。それで再びバンドへの勧誘をしに(&不要なものの現金化をついでに)翌日店にきたとのことだった。
ジュリーという例えが妙にうまく面白かったがいろいろ納得がいかないことがあり、その人はパニック障害でいろいろ大変だという話もしていたので、ジュリーと口に出して話しながらもなんだか可哀そうな気がしたのだった。

La Monte Young & Marian Zazeela/The Tamburas Of Pandit Pran Nath

極悪な音だが世の中的にはスゴイという評価は沢山あり、ラモンテは値段が妙に高い。どんなけ金が好きなんだ。だけど何も知らない初心な年頃には一音も逃すまいと聴いた。ある夜具合が悪くなり外に出ると「ドロボ~~~」と、たよりなげな声とともにおばあさんが民家から飛び出し、私の数メートル前で倒れた。すぐに通報。邪悪な音で結果的には善行ができたのか???

ミニマルミュージックのドキュメンタリー『Colors of the Prism Mechanics of Time』でも彼らにがっかり。