ROEDELIUS/Jardin au fou

コンラッドシュニツラーとともにzodiacを設立した重要人物ローデリウスの作品。

クラシックの要素が大きい作品。チョコボの不思議なダンジョンやサーカスのような雰囲気の曲もある。

クラシック入門に失敗した俺はこれならいける。

アンビエントの一つの源流はジャーマンロックの音響的実験として試みた様々な異種ジャンルの中、クラシックと結び付いて産まれた子供だと思う。ローデリウスの音は軽さがあって良い、快楽とか意味からふわっと離れている。6曲目の後半、ピアノと鳥の声のみで構成されている庭に明らかに異質な不穏ノイズの闖入が記録されている。映画の3秒程度のカットが頭から離れないような凄さ。細かく聴かないと分からないエフェクト操作、音の抜き差しの音響テクニックもカッコいい。後で振り返ると割と変な場所、匿名性が高い割に手触りがあるような場所、そんなとこに案内されてたなと引っかかり何回も聴いてしまう。

Moebius&Renziehausen/ERSATZ,ERSATZⅡ

画家であるRenziehausenとの共作2枚。

リズムの規則に対し有機的ヘッポコのシンセがヘラヘラしている。アホになりかけた脳味噌からでる極上のシナプスのスープか、名状し難い割に頻出する感情の置き所がここにあるんかと思った。

メビウスの非クラスター音源でいうとzero setくらいしか聴いてなく、beerbohmという非音楽家との共作2枚とメイヨトンプソン、プランクとやってる音源が気になる。

自分が買った本作のライナーはasmus tietchensが書いている。asmusも最近集めていてレビュー予定。

cosmic jokers/galactisupermarket/スパイダーマン

Gongチックなスペースプログレ

新しくバンドを好きになるというハードルが上がり続けている。電子かポップス(最近のはさっぱり)しか聴いてない。新しい音楽も聴けてない。家にあるCDを何度も聴くのにはまっている。単に今の時期が新しい(そして最近の)作家から新しさを見出すより馴染みの作家から新しさを見出すモードなのかもしれない。このモード、例えば死ぬまで続いたとしても不思議でないが、新しい作家を好きになれなかったら怖すぎるので暖かくなってきたら色々冒険したいな

サムライミ版スパイダーマン1.2.3を見た。1.2はコテって感とダレ感がめちゃ面白いと思う、あのくらいのテンポの娯楽映画って最近ないかも、ダレ場が多い。あのダレはいま許されんだろ、もっとダレてくれー

「スパイダーマン3」は主人公が調子に乗りまくっているのでMJと上手くいかないから観てられない、終始ラブラブが良かった。何だこの感想は?

3の敵であるヴェノムを倒す方法に音、を使っている。うるさい音を出すとびっくりして寄生主から剥がれてくれるんですね。この音はあまり面白くない金属音で残念。これは辛抱堪らんという気持ち悪い、嫌らしい音を出す必要がある。黒板キーッにつぐ不快音を編み出してほしいかった。あと思うにヴェノムはアメーバみたいなやつだから、そんな聴覚機関がないやつに音が効がないだろ、スーツに寄生するのがわけわからん。宇宙から来てスパイダーマンに寄生するのも分からん。1.2のヴィランに比べ存在に必然性も、ヴィランとしての念、意志もない。グリーンゴブリンとオクトパスを見習って欲しい。カッコいいから許されるというようなカッコよさもない。だからヴェノムは全然ピンと来なかった。そしてサンドマン、彼は死ぬということが今後不可能だと思われるがその死ねなさを描いていたっけかな…

2の博士は自室ラボで核融合をするだけでかなりの狂いっぷりだが、それを制御するためだけに神経系に接続する機械式千手観音をこさえるエンターテイメントっぷりが凄い。あの千手観音だけでヘッドライナーものだ。芸術にも理解がありそうな博士だったから、最初の実験が失敗した時点で核融合は諦めて6本(うち機械式は4本)の腕を使った専用の謎楽器を作って活動して欲しかった。

因みに核融合に使うトリチウムという金属は1g300万円するらしい。作中は500gくらい有ったんじゃないか、つまり15億。

1のグリーンゴブリンも初の人間被験者として博士兼社長が体を張ってしまいイカれてしまう。スパイダーマンの敵のマッドサイエンティストっぷりはすごい。3もマッドサイエンティストが出てきてマッドサイエンティスト3部作にして欲しかった。グリーンゴブリンになってしまう、あの人間用の実験用の檻も相当やばい。口から蒸気吸うだけで良いでしょってのは野暮、全身に実験蒸気浴びてナンボだろう。毎回変身するときは丁寧に檻のところをやってほしい。

1で主人公が糸を出せるのに気付き、シュッ、シュッとビルの屋上で糸を出すのを試すシーン、あの手淫感。

ドクターストレンジの新作はサムライミがやるんですね、今度やるみたいで。マーベル映画は全然見れてないがサムライミなら観たい。

何と、冒頭の画像のCDについて話忘れてしまいました。

2021追想

2021ベスト、の名の下に

やっと終わった…
もう2021から1ヶ月経過、数年来取り組んでいたguitar viol製作(改造)が電化に課題が残るがやっとほぼ終了、そろそろ次のステップに行きたい。
さて昨年を振り返ってみるか、と。しかし、

昨年中も意識的に音楽を聴いていたでもなく、戯れにele-kingとか手に取るとこんなに収穫多い年だったんすか?ほんと?と思いますわ。シティポップ云々も今更でだから何?としか思えず、アナログ価格の高騰の呼び水となって迷惑、としか。

リスニング習慣が旧態かつ旧世代で記憶力が減退しているので、モノ→所有のステップ抜きでのサブスクやデータ拝聴では聴いた時点でのいいなこれ!の後は記憶に残らず、モノ所有してても聴かずに放置してたり、1度しか聴いてなかったり、聴いても忘却してたり、よく聴いたものでもあのジャケの何曲目ぐらいとか曖昧な記憶ばかりでして。

ですんで、小手先での2021雑感としてお茶を濁すべく、棚に整理されずにその辺に雑多に積まれてるCDとレコを列挙してみたら以下のように。

【CD】 下記以外にも過去作等々買ってるが昨年もの中心に

JUANA MOLINA/ANRNAL EN VIVO EN MWXICO
10年以上前ロンドンの教会でライブ見た方、自分にとって久しぶり。変拍子の曲への消化の仕方が上手い。リズム解釈が自然で変でかっこいい。アルゼンチン音響派から随分経ったな。

69th world/yXIMALLOO
師匠たしかWindows98のPCで作ってるはずなんだけどどうやってこの音出してるんだかわかんねえ。面白い。

PERSONA/PERSONA
ブラジルのヒタ・リーのバッキング演ってた人の70年代再発。まあジャケほどのインパクトはない。

NILS FRAHM/OLD FRIENDS NEW FRIENDS
これはジャケ最高に好き。2枚組CD1枚目は物音と弱音ペダル踏んだピアノの音のバランスは好き。

VANISING TWIN/THE AGE OF IMMUNOLOGY
これじゃなくて最新盤があって良かったんだがすぐ出てこない、どこ行った?
あ、これだ、
VANISING TWIN/GEKKOU
良かったはずだが聴き込まぬまま年が明けた。改めて聴かねば。

1000円再発CDブラジルシリーズ何枚か
良いのたくさんあったがこれ以上の列記は控えとく

Anna Yamada/MONOKURO
もう天才。好き。アナログモノシンセ弾き語り。音程が素晴らしく良い伸びる声。

考える目/斉藤友秋
うまくて嫉妬する。

Satomimagae/Hanazono
素晴らしい。素晴らしすぎる焦点に絞られてる感じが却って物足りなく感じないでもない。

SAM GENDEL/inga2016
御多分に洩れず好きなんだが、一挙にたくさん出すぎて追えてない。

MIMIC WORKS/杉林恭雄
後述

INOYAMALAND/Trans Kunang
俺は1stのDANJINDONPOJIDONリアルタイムで好きなんだよ、自慢。もはや普通のカシオトーン弾くだけでもアンビ足り得る山下康に憧れる。

Phew/New Decade
カッコいい!もうこれは外せない、特に2曲めまでの感じと最後の前の曲だったっけな?何回も聞ける。凄い人。で話すと気さくな感じがまた素敵。いや話したことないけど。立ち姿がまた凛としてかっこいいの。

MIHARU KOSHI/VOYAGE SECRET
こちらも屹立し年齢超越したキュートネス&隠しフレンチエロスの孤高のお姉さま。
フレンチもいいがオリジナル曲の独自さはこの人しかできない世界。

Brian Wilson/At My Piano

これを忘れてはいけない。ビーチボーイズの名曲の数々を、ピアニストなわけではないブライアン自身のピアノ演奏で聴かせる歌の無いインスト作品。当然アンビエントでも音響作品でもないです。でもほんと好きな作品です。これからも何回も聴くと思います。

【レコード】 下記は再発を中心に。中古で買ったフランス現代音楽やハワイアン等々も良かった。

PALE COCOON/繭
金沢の80年代デュオ?の再発。昔ソノシート持ってた。ピアノラレコードの人に勧められて買ってみた。すごくいいとまでは思ってないんだが。

斉藤友秋/はじめからここに
上手くて嫉妬する…

robert mills/related ephemera
これは何回も聞いたがすごく良かった気がする。また聴かねば。SP盤等の音から再構築してるが、酩酊(後述)なんかとはレベルが違う。いい。

BOBBY BROWN/THE ENLIGHIETING BEAM OF AXONDA
犬を抱いて海辺で自作楽器に囲まれてるジャケが印象に残るサイケ名盤のひとつ、のどういうわけかアナログ再発。思ったよりずっと素敵。また聞き返さねば。

BRIGiTTE FONTAINE & ARESKI/Theatre Musical
73年に制作されていたものの再発だが、未発表?だったんだっけ?すごくいい。大好き。

After Dinner/1982-85
CD持ってたけどアナログ再発。CDで聞いたよりずっと印象が深い。横川理彦さんも参加していたこのグループ、マッドエンジニアの宇都宮泰さんの音響工作がクる。何度も聴かねば。

MONO Fontana/cribas
アナログ出たんで買ったけど、前に発表されてたよな確か。これも良かったわ。また聴かねば。

番外)酩酊/サード、かなんか。
SP盤のサンプリングで再構築した失われた日本の音風景つう立脚点に興味を持ち、試聴し気になり購入したが、広義のヒップホップマナーの先までは立ち入っておらず、大昔に第三世界の音楽を表層だけ取り入れたワールドミュージックもどき(なんかディープフォレストとか…)に聴くような植民地主義?とか浅めのエキゾシズム?とかの印象を聴くほどに感じた。俺には合わず。なんかイヤ。

最近でもっともスゲーと思ったのは、知り合いの森氏のシネルパの音源をネットで聴いてたときに途中からアトーナルな電子音がカットインしてきた時で。
え?シネルパってこんなに凄かったか!さすが山我静さんポラリス(シンセ)こんなふうにも使うのか!と思ってたら、同時に繋がれたCDデッキ内のくじらの杉林恭雄さんがsystem100で製作した初期電子音楽集が勝手に鳴りミックスされてた様子。曲に寄り添わない偶然のミックスの意外性が一番面白かったし、自分の制作する音楽も完成!と思うより前の有象無象の妄想状態が一番面白いのでは?とも思う。

結局、現存する作品よりも偶然の組み合わせに遭遇する新鮮さや、夢想する脳内にある形なきモヤモヤしたもの、何ら因果なき新鮮さに出会いたいといつも思っている。脳内のモヤモヤは消費できないし言語化できない。

それと自分内に無かったものとの出会いが70〜90’s半ばに活動した映像作家の中村雅信さんの音楽と映像のリズム感が最高だった。差異のある反復映像が繰り返されその映像リズムが音楽と相まってもう映像版ミニマルミュージックで圧倒的、多重露光の複数時間並存する作品も素敵!音楽も既存のレコードの最終溝のループ音他をオープンリールテープで回転数変えたりして自分で作成編集したのとかも使っていて新鮮なものとして聴いた。

わたし文章長くなりがちなのに大量のテキスト追うの好きでなく、またテキスト表現も好まず、なのでモコモコさんの連日の投稿も一瞥しただけでもう追う気がなくなるし、ほかの方々の年間ベストもサラッと読めばまだいい方で、読んでも読んだそばからすぐ忘れてしまう。自分の投稿(中断中)も基本ワークショップでの受講録を記してるだけ。映画も文学も自作の歌詞もみなストーリーや明確な脈絡あるものではなくどこかに跳ばされる恍惚と愉しみに淫するのが好きで、語ることばを持つ方々にはコンプレックスとルサンチマンばかりでしてどうも。
俺はさあ、ギターを最初はさだまさしやアリスでおぼえて嬉々として弾いてた中坊から始まったんだぜ、最低だよなもう。だから語るべきものなんて何にも無いんですよ、ねえ。

今日は異常に靴下が下がる病いに冒されてしまいたいへん難儀した。
少し歩くとまもなく靴下のかかと上部分がみるみるかかとの下へとずり落ちてくるのだ。そのため頻繁に立ち止まりずり落ちたのを上げねばならず、済まして歩き出すとまた直ぐにずり落ちてきてまたそれを…の繰り返しなのだ。何もかもこんな調子なのか俺は、と嫌になる。

誰が読むんだこんなの。

コージー・ファニ・トゥッティ『アート・セックス・ミュージック』

前々から読みたかった本を。
最初にThrobing Gristleのことを知ったのはスタジオボイス2004年6月のザ・ニュー・ノーウェイヴ特集号でだった気がする。そのときは未聴ながら読んだ記事にはグループ名をスログリと略す人がいるだとか書いてあったことだけ面白くて覚えており、それからすぐにベストとリミックスを友人から借りて聴いた。あのリミックス良かったな。聴きたいが手元にないけど。
その号には別のページにWOODMANとMOODMANが写真付きで掲載されており、名義を使い分けている同一人物なのかと、ウッドマンが片腕をあげてタワシか何かを片腕で腋に押し当てている写真の意図不明さも相まって理解が追い付かず、おまけにMOODYMANNもいるということでいろいろ気になる号だった。しかしその時の友人に貸したら回し読みでボロボロになって路上に捨てられたエロ本みたいにズブ濡れになって返ってきたので処分した。
その後TGのオリジナルアルバムを彼らの伝説と合わせて楽しみ、デレク・ジャーマンの映画で物足りなさを感じ、映画『デコーダー』のジェネPを観て号泣した。こんな奴がいるのかと思って。
クリス&コージーはあまり聴いてない、そんな状態でこの本を読み始め、つまりほとんど何も知らない状態でこれを読んでみたら60年代のヒッピームーブメントどっぷりでヘルズ・エンジェルは出てくるし、セックス・ピストルズの名前まで出てくることにとても驚きながら読み終えることができた。例えばほぼなかったノイバウテンの話なんかはもう少し出てくることも少し期待したけれど。
生まれてから始まる他人の自伝なんてあまり読んだこともないし、早くTGの頃の話が読みたくって飛ばしそうになりながら読み進めていくと意外にも早い時点で物語りに惹かれ楽しむことができた。TGで一番好きな曲は「Distant Dream (Part 2)」なのだけれど、少しだけ触れられていたことにも満足。ネットで調べても出てこないけれど、パート2ということはパート1があるのか(ボーカルなしバージョン?)、使用した機材の詳細等まで書かれていたら最高だったけど…。この曲が描く魔法陣というか怪しい雰囲気とアシッドなシンセ、チャカポコいってるだけのリズムボックス、機械的なメロディ、どれも大好きだけれど特にシンセは何を使ったのか知りたい。
https://hivmusic1.bandcamp.com/track/gen-defekt-distant-dreams-part-2-throbbing-gristle
ジェネPが亡くなって追悼で出ているアルバムのこれは原曲に近いカヴァーで好感がもてた。動くジェネPを初めて見たのは『モジュレーション』というミュージシャンがどうやって音を作ってるか話してくれたりするDVDで、いきなりRolly(ローリー寺西)に似た人が画面に表れて、それを見せてくれた友人と爆笑したことを覚えている。その当時なかなか手に入りにくい貴重な内容のDVDだったけれど、今ではあれに等しい内容かそれ以上のはいくらでもネットで観れそうですね。
結局Distant Dream(Part2)の路線を引き継いだとはいえあれと同じ感覚のテクノでもないパーソナルスペース内で弧を描くようにブレインダンスする曲はTG後にそれぞれが始めたユニットでも無いような気がする(もしあるなら教えてほしいです!)。TGファミリー以外のものでもあの曲と同じ感覚で編纂されるコンピレーションがあるとすればそれも聴いてみたい。リズムボックスとベタ打ちみたいなメロディ・ベースにアシッドハウスではないアシッドなシンセの組み合わせ。(これを読んでくれた方、それぞれ作ってみて下さい。※聴かせて。)
ジェネPほんとひどすぎだし、面白いんだけど、特にいいなと思ったのは下記に引用を。

P79
ファンハウスは平和に静まり返っていた。わたし、ジェン、そして2、3人を除き、住人のほぼ全員がワイト島フェスティヴァルに出かけた後だった。自分たちだけで建物を独り占めできる状況を楽しんでいたところ突如として強烈なオートバイの咆哮が耳に入ってきて、ヘルズ・エンジェルズの連中が表のドアを押し破ってハウス内をバイクで乗り回し、壁にスブレーで落書きし略奪行為に及ぶものすごい騒音がそれに続いた。どうしたわけか、彼らは建物の最上階にまではやってこなかった。騒音がおさまったところで彼らも落ち着いたのだろうと察しをつけ、わたしたちがこっそり静かに階下へと降りて行ったところ、そこで出くわしたのはエンジェルズの面々が居間に集合して「メンバー候補生」のひとりを取り囲み、その口をエイジャックス社製のトイレ用粉末洗剤でごしごし洗っている光景だった。
P86
ジェンの関心の中心にあったのは音楽だった―ーそれでわたしも彼に出会うことになったのだ―ーし、彼とスパイディーとその友人連中は音楽で実験してきた。ただしその音楽はザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、ザ・ファッグス、フランク・ザッパといったもっと分かりやすいアングラ・バンドばかりではなくスパイディーの一風変わったレコード・コレクションのいくつかからも影響を受けていて、中でもとりわけAMMの霊感に満ちたあまり知られていない1967年のアルバム『AMMMusic』はスパイディーが奥奮しながら絶対ジェンに聴かせると力説した1枚だった(*21)。AMM1コーネリアス・カーデュー、キース・ロウ、ローレンス・シーフ、ルー・ゲア、エディ・プレヴォストらの音楽に対する哲学的なアプローチは大きな影響を及ぼすことになったし、それはまた音楽に対するCOUMのアプローチなっていくもののはしりのヴァージョンのように思える――和声の排斥、所定の楽器を演奏する能力は誰にとっても必須条件ではない、「グループ」の生み出したサウンドもまたグループ自体にとっての寄与メンバーと看做す、といった具合だ。
P111
モッズ、フィッシャー・キッズ、スキンヘッズ、ヘルズ・エンジェルズらは互いに争い合った―ーこれらのグループはすべて、平和を愛するヒッピーめいた面をちょっとでもにおわせる人間なら誰でもお構いなしに敵対心を示し攻撃を仕掛けてきた⋯⋯わたしたちもここに一括されていた。なるほど、わたしたちの装いは確かに目立っていたし、特にジェンが蛍光オレンジ色の服を着たときはそうだった。けれども好きな格好をする権利が自分たちにはあると思っていたし、それに対意に満ちた注視が向けられることは予想の範勝でわたしたちも容認していた。

P115
カンタベリーで過ごした時間は素晴らしかった。ジェンは『死んだ通行人(Dead Pedestrians)』をフィルム撮影している際に車道で倒れたふりをしたため「横断歩道を不当使用した」かどであわや逮捕されそうになったし、レズ(レヴ〈=聖職者〉・モウルとして)は牧師の衣装ですっかりなりきってカンタベリー大聖堂の前でポーズをとった。わたしたちはあのギグを『著作権侵害(CopyrightBreeches)』(だ完全形で演じたことはない)と称したが、それはデュシャンのレディメイド作品『自転車の車輪』に基づくアィディア、そしてまたジェンがフルクサスの面々と彼らの作品の権利をめぐって口論になった経験からもきていた。

P139
出発の前日にカルト教団「神の子供たち」のローカル支部から訪問を受けたが、彼らは以前からわたしたちの救済に取り組んでいた。この訪問は特に、わたしにはもはや望みはなく、地獄に堕ちる定めにあると伝えるためのものだった―ーああ、それからわたしたちがいなくなったら家を略奪する、とも。なんとも素敵な連中だった。母、祖母、パムがやって来て、少々悲しがっていたもののわたしのために喜んでくれていた彼女たちはお別れを告げ今後の幸運を祈ってくれた。フィジーはさよならを言いに家に顔を出さなかった―ーわたしたちが去るという事実は彼にはまだショックが大き過ぎたのだ。ハルでの最後の夜をわたしは孤独とよるべのない悲しさにひどく苛まれて過ごした。

P176-177
自分自身のイメージおよびアイデンティティの権利を放棄するというのはプロジェクトの重要な部分だったしああした様々なイメージを共同で生み出していく過程で得る経験と同じくらいわたしはそちらにも興味をそそられた。自分が「サンダーランド出身のテッサ」であろうが「ピカデリーから来たみだらなミリー」、はたまた「ジェラルディーン」、「スージー」、「コージ―」であろうが、わたしは他の女の子たちとまったく同じ、マスターベーションのための性的ファンタジーの材料だったのであれ(わたし自身の)現実に近過ぎるものはその幻想を霧散させてしまう。自発的な参加者としてわたしは自分自身をそういう風に利用されるポジションに位置づけたし、そうやって1970年代のフェミニズムからの攻撃の矢面に立つことになった。男性による女性の性的な搾取および擬物化はフェミニストたちにとっての熱いトピックで、彼女たちのアジェンダの中でもとても高い位置を占めていたし、そこでわたしやそれ以外のセックス業界で働く者たちは敵と看做された。わたしは1970年代のフェミニズムと自己同一化していなかった――あの思想は自分を代弁していなかったし、多様かつ複雑な女性の本質を代弁するものでもなかった。わたしは自由な精神を持つ人間だったし、自分自身のとった行動に関してまたさらに規則だの罪悪感だのを投げつけられるのは真っ平だった。ええ、セックス産業で仕事をすることで確かにわたしは彼女たちが闘っていた対象に貢献していたけれども、それは必ずしも自分が彼女たちの敵を是認していた、ということではない。わたしは搾取の「犠牲者」でも何でもなかった。自分自身の目的のためにわたしはセックス産業を搾取していたのだし、そうやって彼らをくつがえし利用することで自身のアートをクリエイトしようとしていた。あれはわたし自身の選択だった。セックス産業の内実を内側から知りたかったし、そうやって実体験者としての立場から語りたかった。自分の作品に純粋さを持たせたかったし、そうすることで既にあった周囲の抱く期待や自分自身の中にあった制約に反発し、またターゲットに設定されていた市場も含むセックス・ビジネスに関わっていた誰もに課せられた複雑なニュアンスや試練をすべて理解したかった。わたしはルールの限界を越えようとしていたーーそこにはフェミニストたちのルールも含まれていた。わたしは自分の人生を「個人」として生きているし、すべての選択肢はわたしにだってそれ以外の誰にだって等しく開かれたものだと思っている。

P221
クリスの専門的知識とTGに対する献身ぶりとは妥協なしでかけがえのないものだった。彼はジェンがその中に入れるくらい巨大なベース用スビーカー2基をスタジオに組み立てていた。高音用のツィーター・スピーカーと相まってあれらのおかげでわたしたちの周波域は広がったし、皆で一緒にプレイする際のサウンドに本質的なパワーを、そして楽しさとインスピレーションとをもたらしてくれた。TGのギアはかなりの高速に入っていた。けれどもクリスもわたしたちも、後になってライヴをやる際にいざあのベース・スピーカーを地下スタジオから引っばり出して狭い階段を使って運び上げ、ドリスに積み込まなければならなくなるまでそれがどれだけ大変かは考えてもいなかった。スピーカーを階段の手すりの上に持ち上げなければならず、がんばるスリージーの顔はほとんど紫色に近くなった⋯⋯

P243
自分たちはやっとどこかに向かいつつあるぞ⋯⋯と感じ始めたところでジェンはそれで充分と判断し、そこでおしまいにしてウィンビーに行きたいとか家に帰ってホット・チョコレートを飲みたいなどと言い出すのだ。あれに特にクリスは怒らされ苛立たされたものだったが、わたしも同様だったのは、ジェンが家に帰るなら当然わたしもついてくるものと彼が思い込んでいて、そうではなくわたしがスリージーとクリスと一緒にスタジオに残る方を選ぶなどとは思ってもいなかったからだった ― 一緒に帰り、わたしは彼にホット・チョコレートを作るものだ、と。あれでクリエイティヴィティの流れやサウンドの実験が中断させられたし、わたしたちの練習の中核は好きなだけ探究する自由だったにも関わらず、求めてもいない、不当な制限がスタジオで過ごす時間に課せられることにもなった。

P255
“ホット・オン・ザ・ヒールズ・オブ・ラヴ”のヴォーカルに(いくらか、という程度だが)似通ったところを感じさせるシングル『アドレナリン/ディスタント・ドリームス』の頃までには、自らのリード・ヴォーカルの領域が脅かされているとジェンが感じていたことをわたしたちも全員察知していた。”アドレナリン”に関してわたしたちの意見は食い違った――わたし、クリス、スリージーの3人はあれをインスト曲にしたがっていたが、ジェンはヴォーカルを入れたがり、他の誰かが歌で何かることにも、また妥協策としての共同ヴォーカル案にも耳を貸さなかった。彼の不平はあのトラックや”ディスタント・ドリームス”ではヴォーカル以外に彼の出番が何もなかったせいだったのかもしれない。あの2曲はTG解散後、わたしとクリスがクリス&コージーとして進んでいくことになる方向を示すものだった。

P263
恒例のわたしの誕生日祝いの1980年版はベック・ロードでの花火パーティで、新旧入り交じった友人たちにポーラも含む面々が集まった。幸せそうで普段より陽気なジェンの姿を見るのは嬉しかった。わたしはポーラが好きだったーーわたしたちはウマが合ったし今も友人付き合いは続いている。2日後、ベルリンの5Oクラブとフランクフルト会場での2公演のためTGはドイツにいた。カスタム・メイドの新しいコンパクトな運搬ケースで機材を運んでいたので、セットアップを素早くやれるようになっていたのはラッキーだった。というのもわたしたちのショウの前に割礼儀式がおこなわれ、その会場清掃・後片付けが終わるまで待たなければならなかったからだーたとえ自分としては断固反対で残酷な行為だと感じたとはいえ、TGギグの前に新生児のペニスが血を流すというのは何やらふさわしくもあった。あのギグの場でわたしたちはクリスの出す素晴らしくインダストリアルでメカニカルなリズムに触発されたTGの新曲をクリエイトした。ジェンがわたしたちに何につえばいい?と訊いてきた―「教練(Discipline)」とわたしとスリージーは答えた。もっともアイコニックなTG曲のひとつはこうして誕生した。

P314-316
アルバムをレコーディングし、ツアーてアルバムを「売る」ためにそれをライヴで演奏するとの発想は、わたしたちには目新しいものだった。というわけでサポート・バンドをツアーに帯同させるというのも目新しい体験だった⋯⋯SPKが相手だ。この時点で彼らの顔ぶれはグレアム、彼の妻シーナン、そして追加ヴォーカルおよびダンス担当のカリーナ・ヘイズの3人だった。彼らの機材の量は小道具の数々にアングル・グラインダーまで含むわたしたちのそれ以上のもので、空港で何度も足止めを食らいトラブルを起こすことになった。海外ツアーをおこなう際に「装置用カーネイ」(他国間で機材・備品を移動させる際の一時的な輸出/輸入書類)の申請は義務づけられていて、これは悪夢だった。税関通過の時点で機材のあらゆるアイテムはリストに記載されその所在の責任を負わなければならなかったー導線、端子ジャック、電源装置のひとつひとつにいたるまで。そのひとつでも行方不明になると、相当な額の罰金を課せられることだってあった。この面はただでさえ短かった空港間の乗り継ぎ時間に余計なストレスをつけ加えてくれたし、もっともそれすらグレアムの所持していた風変わりな荷物が生み出す数々のすったもんだ劇を除いて、の話だった。
背後に横たわる不服のタネを最初にグレアムの中に引き起こしたのは、わたしたちがアメリヵで入国審査を受けた際に、彼シーナン、カリーナが待ったをかけられ質疑応答のため別室に連れていかれたときだった。わたしとクリスが彼ら3人は正真正銘我々のサポート・アクトであり、その保証人になると提案するまで彼らは入国を許されなかった。この応対は功を奏したが、と同時に公の場でグレアムがわたしたちの部下に当たる存在であることがはっきりしたのを彼は良く受け止めなかったし、入国審査官がわたしとクリスに笑顔を見せ、「今夜のショウのチケットを持ってますーあなたたちの音楽が大好きなんで」と声をかけてきたとなればなおさらだった。わたしたちは彼にC&じのバッジをあげ、少しおしゃぺりし、その場を去った。わたしたちの従属アクトとして扱われているというグレアムの抱いた感覚は、わたしたちがショウでトリを務め、また現地で受けたラジオやマスコミ取材の本数が彼よりもわたしたちの方が遥かに多かったことで増していった。いわゆる「ヘッドライン」の座を占めるのは誰かという点はわたし自身には重要事ではなく、ほとんど意味は持たなかったが、グレアムにとっては意味が大きかった。事態は非常にぎこちないものになっていったし、ひっきりなしに文句を言いダンをうるさがらせるグレアムの存在はツアーに思いっきり水を差した。その矛先をダンはすべてもゃんと受け止めていたが、グレアムの気分をなだめようと彼が何をやっても無駄だった。観客の頭上で金属製チェーンを振り回す、会場からレンタルしたマイクをぶんぶん回して壊す、その場で見つけたものなら何でも手当たり次第、会場の支柱を含む様々な物体に研削機をかけることで散る火花の危険⋯⋯といったグレアムの振る舞いでSPKがパフォーマンスを通じて会場側に与えた損害に対する様々な苦情・金銭面での代償を何もかも処理することで、ダンはツアーを軌道に乗せ続けていた。あるショウを観にきた若い女の子のお客は重たいチェーンの激しい一撃で頭に裂傷を負い訴訟を起こすと脅しをかけてさたが、ダンはなんとか彼女を説得して起訴を免れた。
グレアムの抱える不平にさんざん悩まされ、状況はツアー半ばで限界に達した。またもや起きたグレアムとの対立の1幕を終えて通りを歩いていたところ、ダンが唐突に足を止め、「もうたくさんだ!俺は降りる!」と叫んでツアー用のブリーフケースを通りに放り投げた。ニックはその光景を怖がっていたし、ツアーがどうなってしまうか自分たちにも見当がつかなかった。わたしはブリーフケースを取り戻しにいき、誰か代役が見つかるまではツアーに同行して欲しいとクリスと一緒にダンをなんとか説き伏せることができた。彼はその後グレアムを避けることにし、ツアマネ業務を引き継ぎグレアムと平静な状態を保つべく助っ人に現れたスティーヴ(・モンゴメリー)と入れ替わったところで、わたしたちは彼に感無量の別れを告げた。西海岸に到着するや、わたしたちは早速ニックを友人たちに会わせることにした。ピリピリした雰囲気から逃げ出せたのはありがたかった。SPKが生み出した損害経費はツアーの進行に伴いかさんでいき、最終的にツアー収益のかなりの額を食いつぶすことになった。帰国便をつかまえるためにスティーヴが全員を空港に連れていってくれたところでギャラの清算がおこなわれることになっていた。ツアー収支の状況を伝えられてグレアムは怒り狂った。「俺には養わないといけない妻と子供がふたりいて、家のローンの支払いもあるんだぞ!」と彼はわめいた。クリスはその場をおさめ事情を説明し彼を納得させようとしたが、彼自身がスティーヴと交わした契約書の内容に反してグレアムは金を要求してきた。彼の求めるギャラはわたしとスティーヴの報酬を削って捻出するほかなかった。スティーヴは男性トイレに向かい、グレアムはその後についていった。両者がトイレから出てくると、スティーヴは見るからに動揺した様子で、一方グレアムはわたしたちに向かって一言も残さず走り去っていった。わたしはニックの隣に座り、周囲で何かしら良くないことが起きているのに気づかないように彼を守っていた。「どうしたの?」とスティーヴに尋ねた。「あいつに不意打ちを食らわされた。まさか口で罵るだけじゃなく実際に手をあげてくるとは思わなかった」この口論の様子を目撃した男性がいたらしく彼はロサンジェルス警察に通報していて、現場にやってきた警官はスティーヴに対し、ツアー・マネージャーとしての彼にはグレアムの身の安全とオーストラリア帰国とを確保する責任があるとし、スティーヴはグレアムに報酬を支払うべきで、さもなくばわたしたち全員を分署に連行すると申し渡した。スティーヴは彼が受け取るはずの歩合金を失い、わたしたちは自分たち自身のツアーの成果として数100ドルしか手元に残らなかった。ぼったくられた思いだった。SPKはあの後に解散したと耳にしたし、その後グレアムはLAに移住してハリウッド映画向けの音楽をやるようになった。

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https://hieroglyphicbeingofficial.bandcamp.com/track/i-am-the-calling-of-me
Hieroglyphic beingの曲「I am calling of me」、なんちゅうかっこいいタイトルや!と購入。リメイクでない方の「トータル・リコール」を幼心に直撃している者として。このコージーの本にもそれを感じた。

Thought texture – opaline

あまりにアンビエントアンビエントというが君、それは機能性補助食品ではないのかね?

効いてるかも 効いてるかもです!

赤とピンクの間の間にもグラデーションがあるのじゃ
(激安マルチエフェクターフェチ、物申す)

使い捨ての量産型夢が叶えられる日

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